この飾りがついたH型は、いったい何?
下の写真を見ていただきたい。ちょっと奇妙なシトロエン H型である。車体のカラーはH型基本の渋いシルバーではあるが、おかしな飾りがいろいろ付いており、フロントガラスには数字が書いてある。

これはいったいどんな車か。詳しくは本文を読んでいただきたい。写真のミニカーは、フランスのメーカーエリゴール製であるが、こうした車をそのままモデル化しようという茶目っ気もフランス的で面白い。
この車は、シトロエン H型最後の1台「ル・デルニエ」だ。1981年12月14日、フランスはパリ近郊のオルネー工場で製造され、最後の1台として飾り付けられて工場から出たH型である。フロントガラスの数字は、最後の1台のシリアル番号とのことである。
そしてフロントの勲章は金メダルである。34年間よくぞ作り続けたとの想いが込められているのだろう。さらに、車の後部には「FIN」つまり「終わり」の文字とともにラクダのキャラクターが描かれ、「行ってらっしゃい、さようなら」の吹き出しが添えられている。
また、後部には2本のほうきも付けられているが、これがまた面白い。フランス語圏では、お客が帰った後掃除するというイメージから、ほうきは、“もうお帰りください”を意味するそうだ。何と言うかエスプリの効いたジョーク、いやブラックジョークになっている。
それにしてもこの最後の1台、現場で生産に携わってきた人たちのシトロエン H型に対する愛着が伝わってくる車でもある。それだけH型はフランス人にとっては特別だったのだ。
最後まで愛された、シトロエン H型。
今ではシトロエン H型は、フランスの文化的遺産であるとも言われている。そうした文化的遺産ともなるきっかけは、やはりH型がさまざまな商売をはじめ身近な公共機関でも使われ庶民の生活に密着していたからだ。
そう、身近にあった車ほど、その当時は何でもない古臭い車なのだが、時が経つにつれ偉大な車とか、文化的遺産などと呼ばれるようになるのである。このシトロエン H型がよい例である。
シトロエンH型の開発の経緯から車としての特長、社会との関わりなどを、さまざまな写真や動画とともに語っている。開始6分半あたりで上で述べたH型最後の1台の写真も登場する。
