商売用、仕事用の車として活用された。
このシトロエンH型ほどさまざまな場面で使われた車はないだろう。商店や運送をはじめ、農家、建設業、移動販売などの各業界、警察、救急などの政府機関でも活用された。また、マイクロバスやキャンピングカーなど乗用車としても多く使われている。
それだけ使い勝手がよかったわけで、この車じゃなければ仕事ができないという人も多かっただろう。まさに、当時の他の商用車を時代遅れにした車でもあったわけだ。
この車は、移動販売車、特に食べ物を売る屋台、つまりキッチンカーとして大いに活躍する車となった。それは、後部の荷室の高さがよかったのだろう。中に立って作業できるので、キッチンカーには最適なのである。
そして、そんな使われ方がこのシトロエン H型のイメージを決定づけるものとなった。フランスの街角でジェラートにアイスクリームやパンケーキといった身近な食べ物を売る、そんな生活の風景がこの鉄仮面のような車とともに庶民に定着したのである。

花屋
花屋の移動販売車としてのH型。車のボンネットに花束を置いたり、自転車に花を積んだり、そんなしゃれた演出がヨーロッパっぽい。写真の状況を見ると、1960年代に撮られたものだろうか。
【Trinity College | Rollei 35 by Bernt Sønvisen, on Flickr”】
花屋の移動販売車としてのH型。車のボンネットに花束を置いたり、自転車に花を積んだり、そんなしゃれた演出がヨーロッパっぽい。写真の状況を見ると、1960年代に撮られたものだろうか。
【Trinity College | Rollei 35 by Bernt Sønvisen, on Flickr”】

ポリスカー
警察用車両のH型。1960年から83年までフランスの警察で使われていた。1968年以降は、車両の外側に金属の網が張られていたため、サラダバスケットという愛称でも呼ばれていた。
【Police Citroen Type H “Panier de Salade” by megabreadvan, on Flickr”】
警察用車両のH型。1960年から83年までフランスの警察で使われていた。1968年以降は、車両の外側に金属の網が張られていたため、サラダバスケットという愛称でも呼ばれていた。
【Police Citroen Type H “Panier de Salade” by megabreadvan, on Flickr”】

キッチンカー
シトロエンH型と言えばコレ。中にキッチン設備を備え、側面のパネルを大きく開いてお客を迎えるキッチンカーである。フードトラックとも言われる。これはピザを販売するピザワゴンだが、世界各国でさまざまな食べ物がH型を使って露天で販売されている。
【Wood Fired Pizza Wagon by Andrew Bone (Weymouth), on Flickr”】
シトロエンH型と言えばコレ。中にキッチン設備を備え、側面のパネルを大きく開いてお客を迎えるキッチンカーである。フードトラックとも言われる。これはピザを販売するピザワゴンだが、世界各国でさまざまな食べ物がH型を使って露天で販売されている。
【Wood Fired Pizza Wagon by Andrew Bone (Weymouth), on Flickr”】
面白いのは、公共の車両にもH型が多く使われていたことだ。食べ物屋のキッチンカーと警察のパトカーが同じ車を使っているなんて、世界ではこの頃のフランスだけなのではないだろうか。この頃、例えば1960〜70年代の日本だったら、焼き芋屋の屋台はリヤカーか軽トラックであり、警察のパトカーはトヨタ クラウンなのである。
1947年に登場したシトロエン H型は、人々の人気に支えられて1981年までなんと34年間も製造され続けた。生産台数は合計で約47万台のロングセラー車である。しかもそのデザインに大きな変更はなく、最後までほぼ同じ形の車が製造され、販売された。
