シトロエン 2CV フルゴネット

Citroën 2CV fourgonnette
シトロエン2CV フルゴネット
シトロエン 2CV フルゴネット 1954年

街に溶け込む、カラーとスタイル。

目玉のようなライトにシトロエンのマークが入った大きなグリル。フランスの自動車メーカーシトロエンの名車2CVだ。いかにもフランスといった小型車である。日本にもファンが多い。

だがこの車、単なる2CVではない。運転席の後ろには大きな荷室がついている。乗用車である2CVがベースの貨物車なのである。

前は乗用車で後ろは荷室というのは、よくある商用車の形だ。昔の日本ではライトバンとも言った。だが、フランスではこうしたタイプの車をフルゴネットと言う。

フルゴネットとはどこから来ている?

フルゴネットとは、中世フランスで使われていたフルゴンと言う荷車から来ている。20世紀の初め頃自動車が普及しだすと、屋根付きの貨物用自動車つまり大型のバンをフルゴンと言うようになった。

19世紀のフルゴンの写真
フルゴン
フランスの軍隊で1870年代に使われていた荷馬車。こうした幌の付けられた荷馬車をフルゴンと言った。側面にもfourgonと書かれている。
Bibliothèque nationale de France, Public domain, via Wikimedia Commons】
20世紀の自動車のフルゴンの写真
自動車のフルゴン
20世紀になると、こうした屋根の付いた貨物自動車をフルゴンと呼ぶようになる。写真は食品などを運ぶフルゴンで、1906年に撮影されたもの。
Dussoulier, Paul, Public domain, via Wikimedia Commons】

そして、乗用車がベースで小さな荷物の配送に使う車はフルゴネットと呼ぶようになる。fourgon(フルゴン)に、小さなとかカワイイを意味する接尾辞etteを付けてfourgonette(フルゴネット)なのだ。この点、乗用車がベースで小さな荷物が運べる車を本格的なバンに対してLight Van(ライトバン)と呼ぶのと同じである。フランスと日本、こんな車の呼び方に通じるところがあるのが面白い。

ではこの2CVフルゴネットを語るにあたり、まずはベースとなったシトロエン 2CVについて触れておこう。

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農家向けの車として開発された2CV。