農家向けの車として開発された2CV。
2CVは、1948年にシトロエンから登場した小型車だ。2CVとはフランス語で2馬力のことだが、それは実際のこの車の馬力ではなく、自動車税の区分を意味している。つまり、自動車税が安く、手軽に乗れる車という意味でもあった。
2CVの開発は戦前の1936年から始まっている。コンセプトは、農家のための車であった。当時のフランスの農村は近代化が遅れ、移動手段や輸送手段は主に馬車や手押し車だったのである。そんな農村で手軽に使える車、経済的にも負担にならない車を作れば大いにヒットすると考えたのが始まりだ。
この車の開発にあたっては、いくつかの条件が示された。それがまた興味深い。「時速60Kmで走行できる」、「ガソリン3リットルで100Km以上走れる」といった条件に加え、「50Kgのジャガイモを載せて走れる」とか「カゴいっぱいの生卵を載せて荒れた道を走っても卵が割れない」というのがあった。まさに農民の車だったのである。

1950年製の2CV。最初に発売されたタイプである。フロントグリルの形に特徴がある。丸型のヘッドライトに屋根は幌というあのおなじみのスタイルは変わらない。
【Thesupermat, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons】
第二次世界大戦により開発は一時中断するが、戦後再開し、1948年10月にパリで開催されたモーターショーで2CVは発表される。戦後初の全く新たなモデルということで各界からの注目を浴びる中で発表されるのだが、評判は散々だった。
戦後の新モデルと言うからには、近代的で何かとてもスマートな車が出てくるかと思えば、丸っこいボディに目玉が2つ付き、屋根には幌が張られた変な車が登場したのである。これには、ショーの観客も驚いたようだ。新車の除幕式に招待されていたフランスの大統領も言葉を失ったという話がある。
しかし、この2CV、最初の印象は良くなかったものの人々に受け入れられ、結局はフランスの国民車とまで言われるようになるのだから面白いものである。

キャッチフレーズは、「自動車業界における最大の驚異」。そう、2CVは驚くべき車なのだ。燃費や乗り心地の良さを強く訴え、屋根を開ければセダンもオープンカーになるといった泣かせるメリットも強調。そろそろこの車の良さが認知されてきた頃の広告だと思われる。英語で書かれており、イギリスで出された広告のようだ。
【Citroen 2CV (Slough GB built) 1950s by Andrea Boano, on Flickr】
