FIAT ZERO

庶民向けの、おしゃれなスパイダー。
オープンスタイルの美しい小型車だ。1910年代の車は、幌の屋根が付いた車が一般的なのだが、これは敢えて屋根をたたんで風を受けて走りたい、そんなスポーティな印象を与える車でもある。
こうした小型車で、風を感じて走るのが楽しい車は、スパイダーと言う。なぜスパイダーなのか。軽量の4輪馬車のことをスパイダーと呼んでいたのが発祥のようだ。小さくて華奢なイメージの馬車が、クモ、つまりスパイダーを感じさせたのだろう。
自動車が作られるようになっても小型のオープンカーはスパイダーと呼ばれ、特にイタリア車で好んで使われた。
この車もイタリア車である。イタリアの自動車メーカーフィアットのフィアット ゼロだ。製造されたのは1914年。イタリア車のスパイダーの先駆けとも言えそうな車である。

馬車のスパイダー
19世紀に描かれたスパイダーの絵。スポークの車輪の上に小さな椅子が据えられており、屋根はない。まさにスパイダー(クモ)というイメージである。
【Brewster & Co., CC0, via Wikimedia Commons】
19世紀に描かれたスパイダーの絵。スポークの車輪の上に小さな椅子が据えられており、屋根はない。まさにスパイダー(クモ)というイメージである。
【Brewster & Co., CC0, via Wikimedia Commons】

フィアット ゼロ スパイダー
馬車のスパイダーのような華奢なイメージはないが、オープンで2人乗りの小型車はスパイダーと呼ばれた。
馬車のスパイダーのような華奢なイメージはないが、オープンで2人乗りの小型車はスパイダーと呼ばれた。
