親子でお買い物

昭和32年ごろ 神奈川県川崎市で撮影

スーパーマーケットもコンビニも無かった時代です。毎日のお買い物は、近所の商店。もちろん車を運転する主婦なんていませんでしたし、子供を自転車の前や後ろに乗せてなんて母親もいませんでした。もっぱら歩いて行ったものです。
お店の方も、子供の手を引いて歩いて行ける距離に八百屋、肉屋、魚屋と大体揃っていました。お店で買い物しても当然レジ袋なんてもらえませんから買い物かご持参です。思えば、便利でエコな時代でした。

写真から昭和を見つける

長屋
木造の2軒長屋である。玄関を挟んで壁一枚で隔てられており、隣家の音がよく聞こえたが、あまり気にする人はいなかった。

玄関
引き戸の玄関である。もちろんサッシではなく、木製の桟にスリガラスが嵌められているものである。ガラスにヒビが入ったのだろうか、紙を貼って補修してある。

玄関の鍵
玄関にはねじ式の鍵が真ん中につけられているだけであった。無用心と言えば無用心であるが、当時はまだそれほど物騒ではなかった。

物干し
ここに物干し竿を掛けて洗濯物を干した。長屋の共同の物干しのようである。

脚立
木製の脚立である。布団を干すために使うという用途もあった。


風呂を沸かしたり、カマドに使ったりする。都市ガスもプロパンガスもまだ無かった。都会では建築現場で出る廃材などが薪としてよく使われていた。

母親
まだ若い母親である。カーディガンにポケット付きのスカート、サンダル履きというスタイル。胸元の蝶のブローチがおしゃれポイントか。

子供
セーターにアップリケ付きオーバーオール、頭には毛糸の正ちゃん帽。キッズファッションなどという言葉は無かったが、近所の悪ガキとは違うぞとの親の主張がよくわかる。

正ちゃん帽
毛糸で編まれ、てっぺんにボンボンの付いた帽子。大正時代に新聞で連載されていた漫画「正チャンの冒険」に登場する正ちゃんがかぶっていたため流行した。この頃は特に流行していたわけではなく、普通の子供の帽子であった。

買い物かご
籐などの素材で編まれており、しっかりした作りとなっている。今でこそ、マイバッグ持参などと言っているが、当時はこれが当たり前だった。

家庭のスナップ写真から、昭和のあの頃を考える。