坊主頭の中学生

昭和32年ごろ 静岡県磐田市で撮影

昭和30年代初期の中学生の様子です。
このくりくり坊主ぶりをご覧ください。現在、坊主刈りが普通の中学校は少数派。でもこの時代は、中学生と言えば坊主頭に学生服がトレードマークでした。本人達も、そのスタイルで、小学校のガキどもとは違うんだ、大人なんだと主張していたようです。ですから、学校から帰ってきたからといって、今のように私服に着替えたりはしません。あくまでも学生服を着て外で遊んでいました。

写真から昭和を見つける

坊主頭
見事である。これがカラー写真なら、きっと青々としているのがわかるだろう。床屋に行ったばかりであると思われる。当時の中学生は坊主があたりまえ。中学になるとこの頭になることになっていた。誰もなんの疑問も持たなかった。髪の毛を伸ばしている方がおかしかった。

石仏
何体もの石仏が並んでいる。ここはお寺の境内ではないが、道に沿ってこうした像が何十体も並んでいた。どんないわれがあるのかはわからない。
子供たちにとって道祖神や石仏は信仰の対象にはなっていないが、バチがあたりそうなのでなんとなくいたずらは控えていた。

学生服
よくシワの入った、年季の入った学生服である。授業中でも放課後も、学生服で過ごしていたのがよくわかる。擦れるところはテカテカと光っていた。

万年筆
この時代は、シャーペンやボールペンはまだ一般的ではなかった。ゆえに万年筆と思われる。入学祝いか何かで買ってもらった万年筆を胸ポケットにさし、「僕は中学生!」と主張しているのである。
しかし、万年筆の使い方がよくわからず、鉛筆のように力を入れてしまうので、ペン先が壊れてしまうのも常だった。

中学生
金ボタンをしっかりかけて、カラーもきちんと留めている。写真を撮るのでだらしない格好はできないというのでこうしたのだろうか。いや、そこまで気はまわらないだろう。これが普通の着方なのである。

小学生
小学生の女の子である。この時代になると、小学生とくに女の子のスタイルは基本的に現代と同じで、私服であった。髪の毛もおかっぱでなければならないということはなかったようだ。

幼児
ちょっと恐そうに乗用玩具に乗っている。手は車体をしっかりとつかみ、顔も緊張している。
こんな幼児を小学生や中学生のお兄さん、お姉さんたちが面倒を見ている時代でもあった。塾やゲーム、スマホに忙しい現代の子供たちにはとてもできないことである。

乗用玩具
子供が乗って足で漕ぐと前へ進むように作られていた。現代でも、小さな子供のいる家にはよくある。
しかし、この写真の玩具は普通のものより一回り大きく、がっしり作られている。どうも、この家の親の手作りのようだ。珍しい三輪タイプでもある。

下駄ばき
学生服に下駄ばき。これぞ、当時の正しい中学生の姿と言わねばならない。現代のようなスニーカーなどはなく、常用の履物は下駄か草履。運動靴は高価なものだから、遊びでは履かなかった。ゆえに、現代の子供のように扁平足とか、外反母趾という問題もなかった。