ド・ディオン・ブートン トラクター

蒸気トラクターが登場。

1893年、ド・ディオン・ブートンは、新しい蒸気トラクターを登場させる。それが、ここで語っているド・ディオン・ブートン トラクターである。車の前部には大きなボイラーと蒸気エンジンを搭載。後部には連結器があり、乗客を乗せる車や、貨物などを連結できた。まさに、道を走る蒸気機関車である。

ド・ディオン・ブートントラクターのスタイル
これが、ド・ディオン・ブートン トラクター
トラクターの本体は前の四輪車で、後の2輪車は馬車である。つまり、馬の代わりに蒸気トラクターに馬車を引かせているのである。トラクターの前部分、車で言うところのボンネットにはお湯を沸かすボイラーがある。さらに、ボイラーの運転席側にはコックがいくつも付いている。ここでボイラーの状態を調整できたようだ。

この蒸気トラクターが登場した時代、19世紀の終わり頃は、ガソリンエンジン自動車の技術が急速に発展した時代でもある。街には新たな技術によるガソリン車が走り始めていた。でも、ド・ディオン・ブートンの蒸気トラクターは、ガソリンエンジン車に劣らない優れた性能を持つ車だった。その証拠がパリ・ルーアンレースでのこの車の走りである。

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パリ・ルーアンレースでの活躍。