20世紀の社会に影響を与えた車。
さて、ミニというこの車、1999年に世界中の自動車の専門家によってなされた「カー・オブ・ザ・センチュリー」において、堂々2位を獲得した車でもある。これは、20世紀の自動車の歴史と社会に最も影響を与えた車を選ぶもので、1位はフォード T型であった。
確かにフォードT型は、大量生産方式を活用して自動車の値段を大きく下げ、一般庶民が自動車を持てるようにしたという意味で1位にすべき車だろう。それに続く2位がこのBMCミニなのである。ちなみに3位はシトロエン DSで4位はフォルクスワーゲン ビートルである。
ではなぜBMCミニが2位となったのだろうか。前輪駆動の小さな車で、それまでには無かったスタイルを持つ自動車としての意義はもちろん大きいだろう。しかし、20世紀の社会に大きな影響を与えた車でもあったのだ。それは何か。

左のミニは生産第一号車の1959年製で左のミニは1965年製。この写真が撮られた時の最新型である。ほとんどというか全く同じなのが面白い。中央に立つ人物は、ミニを設計し、デザインしたアレック・イシゴニス。彼が歴史に名を残すこの車の生みの親であるが、「カー・オブ・ザ・センチュリー」に選ばれた時はもう亡くなっていた。
【Birmingham Museums Trust, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons】
60年代の若者文化と、ミニ。
ミニが発売されたのは1959年で、60年代に大いにヒットした。そして60年代と言えば、第二次世界大戦の影響が薄れ、生活が豊かになり、マスコミが急速に発達し、新しい価値観が生まれ始めた時代。若者を中心に独自の文化が形成され、世の中を引っ張ってゆくようになってきていた時代でもある。
ミニの登場した当時のイギリスでもそんな若者文化が流行り、スウィンギング・ロンドンと呼ばれた。音楽ではビートルズであり、ファッションではミニスカートであり、アートはポップにサイケであった。そして、車はBMCミニだったのだ。

この写真は、1967年から販売されていたミニMKⅡの広告と思われる。サーフボードに水着の若者、そしてミニである。60年代後半から70年代にかけての若者イメージのお手本のような画作りだ。彼らがミニを支持していたことがよくわかる。
【Mini 1000 S (1967-71) by Andrew Bone (Weymouth), on Flickr”】
車を持つといえば、あたりまえのように普通の乗用車といった常識的なライフスタイルではなく、前輪駆動のカワイイ車を相棒にするといった生き方が生まれたのがこの時代であった。またそれは、その後、一つのカーライフとして定着もしてゆく。
そんな意味で、BMCミニは社会に大いに影響を与えたのである。
