将来を決めた恋文。

北条政子 二十一歳

北条政子二十一歳。当時の女性は、十二~三歳で結婚するのが普通だったが、政子は、まだ娘として父北条時政のもとにいた。

そんな彼女に、ある時一通の手紙が届いた。差し出し人は政子の住む北条の館からほど近い蛭ヶ小島に流されていた源頼朝。源氏の御曹司である。しかも、それは恋文であった。

「多少年はとりすぎているけれど、なんて素敵な人なのかしら」
政子は、その頼朝に一目惚れする。京生まれの御曹司で、美男でスマ-ト。政子がポ-っとなるのも無理はない。二人は恋に落ち結婚を誓うが、父北条時政は大反対。

「あいつは源氏の子、流人だ、平家が続くかぎり出世はできんぞ。おれは許さん」

ところが父が反対するほど二人の恋は燃えあがる。時政が、地位も財産もある平家の代官山木兼隆に嫁がせようとした婚礼の夜。「お父上許して」と、雨のなかを政子は頼朝のもとへ走ってしまう。

しかし、これ以後、時は政子に味方する。平家は落ち目となり、頼朝は関東武士の支持を得て、鎌倉に新しい根拠地を開くのである。

北条政子(1157~1225)
鎌倉幕府の創設者、源頼朝の妻。頼朝の死後、北条氏一門とともに幕府の中心として政治を行った。