自転車メーカーオペルが自動車製造へ。
オペルは、1862年創業のメーカーである。最初はミシンと自転車を作っていたが、1899年から自動車製造に参入した。自転車を作っていて、後に自動車をというのはよくある話で、当時の自転車製造のノウハウや設備が自動車製造にも転用しやすかったのだろう。
また、自動車に対する当時の社会の風潮も関係している。移動手段といえば馬車しかなかった時代に、馬が無くても自力で走ることのできる乗り物が考え出され、実用化されるようになったのが19世紀後半だ。さまざまなメーカーがその馬なし馬車、つまり自動車を製品化しようとした。オペルもこの波に乗り、新時代の乗り物である自動車の製造を目指したのである。

家庭用でも業務用でも最高品質の製品として認められている「オペルのパーフェクタ」と宣伝している。1901年の広告である。
【Denis Apel, Public domain, via Wikimedia Commons】
オペルは、1866年から自転車の生産を開始している。上の自転車は前輪が小さく大きな荷台を付けたもので、商店などで使われたものだろう。
【Gryffindor, Public domain, via Wikimedia Commons】
自転車作りのノウハウはあるとは言うものの、自動車製造は初めてのオペルがまず目を付けたのは、アンハルト自動車工場の車であった。アンハルト自動車工場は、発明家のフリードリヒ・ルッツマンが作ったメーカーで、製造する車はその名もルッツマンと言い、当時の競合相手であったベンツやダイムラーには無い特長を持っていた。
ルッツマンは、エンジンの冷却方式に優れており、しかも摩擦抵抗の少ない動力伝達システムを採用することで、馬力の小さいエンジンでも快適に走ることができたのである。また、変速機にも改良が加えられ、運転操作が楽な自動車に仕上がっていた。
オペルは、ルッツマンの製造権を獲得。
1897年にベルリンで初めてモーターショーが開催される。それは21世紀の現在も開催されている国際的なモーターショーだが、そこにルッツマンも参加。しかもルッツマンは、ショーで行われたレースでも優勝し、実力を示した。
そのルッツマンが、自動車製造への進出を狙っていたオペルの目に止まったのだ。そしてモーターショーの翌年の1898年、オペルはルッツマンを製造するアンハルト自動車工場を買収し、車の製造権を獲得するのである。
1899年、オペルは、アンハルト自動車工場のルッツマンをオペルの自動車として世に出す。車の正式名は、オペルパテントモーターカー・システムルッツマンである。オペルが特許を買って作った自動車ルッツマンという意味で、ライセンス生産のようなイメージである。

1899年にオペルが出した広告である。「ルッツマンを買収し、自動車製造のプロとオペルの経験とを合体させた最高の製品を届ける」と語っている。なお、掲載されている自動車の絵は、オペルのシステムルッツマンではない。これはオペルが買収する以前にアンハルト自動車工場が作っていた自動車である。
【SconosciutoUnknown author, Public domain, da Wikimedia Commons】
