日産 スカイライン

クルマはデートのための道具なのである。

60年代後半から70年代前半にかけて、自動車は前年比20%増という驚異的な普及率を示した。そして普及するにつれ、個人の生活の中での自動車の役割の幅は広がっていった。

単にもっと遠くへ行くために、もっと早く走るためにではなく、彼女と(彼と)デートするために乗る、というクルマの使い方を提案し、広めたという点で“ハコスカ”や“ケンメリ”の意義は大きい。

“ケンメリ”が登場してからおよそ4年後、荒井由実のアルバム「14番目の月」に収録された「中央フリーウェイ」がヒットした。それこそ「片手でハンドルを握り、片手で肩を抱いて」というデートのスタイルが日本の普通の男女の「愛」の形として認識された瞬間と言えるだろう。