ホンダ Z

軽自動車初のスペシャルティカー。

この車のベースとなったN360のNとは、「のりもの」を表すNと言われているが、Zは何を表しているのだろうか。Zは、アルファベットの最後の文字である。「究極の」といった意味を持たせたかったのかもしれない。

発売時には、この車はスペシャルティカーと銘打たれていた。スペシャルティカーとは、居住性が高く、快適な車という意味があるが、日本ではじめてこの言葉を使ったのはトヨタセリカである。セリカもホンダ Zと同じ頃の発売であり、この頃はスペシャルティという言葉自体が流行していたのである。

そしてホンダからすれば、軽自動車でスポーティなクーペスタイルを実現したのだから、まさにスペシャルであり、究極でもあったのだろう。

ホンダ Zのカタログ①
初代のカタログである。大判サイズで、写真集のような作り。ホンダ Zが、米軍の戦闘機やフットボールチーム、ドラッグレースカーなどとともに写っている。アメリカに車を持ち込んで撮影したのだろう。特別な車なんだというホンダの意気込みが伝わってくる。
ホンダ Zのカタログ②
こちらは1972年発売のハードトップのカタログ。ヨーロッパで撮影されたと思われる場面が多く掲載されている。運転席周りの装備やバックウィンドウの使い方、テクノロジーなど、車のメリットが丁寧に語られている。

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人呼んで「水中メガネ」。