この頃、車の使い方の意識が変化していた。
このようにバモスは、レジャー用車であることも想定して開発された車である。昭和40年代の中盤、1970年代になると、日本人にも車そのものをレジャーとして使おうという意識が芽生えてきていた。ホンダはいち早くそこを捉えて、開発を行ったのである。

イベントで展示されたバモス
2023年に岐阜県高山市の道の駅「モンデウス飛騨位山」で行われたイベントに展示されたホンダ バモス。奥の車は1974年製のホンダ ライフステップバン。今主流のトールタイプワゴンの元祖とも言える車だ。両車とも70年代のホンダの遊び心を感じさせる。
【先従隗始, CC0, via Wikimedia Commons】
2023年に岐阜県高山市の道の駅「モンデウス飛騨位山」で行われたイベントに展示されたホンダ バモス。奥の車は1974年製のホンダ ライフステップバン。今主流のトールタイプワゴンの元祖とも言える車だ。両車とも70年代のホンダの遊び心を感じさせる。
【先従隗始, CC0, via Wikimedia Commons】
大阪で日本万国博覧会が開催された昭和45年(1970年)という年は、日本人全体が、新しい時代の波を感じた年であったが、モータリゼーションの面でも新しい波が生まれてきた頃と言えるのではないだろうか。特に、軽自動車の中に遊びに使える車がいくつか登場しているのが興味深いところである。
まず、筆頭として挙げられるのがスズキ自動車のジムニーであろう。スズキ ジムニーは今も納車待ちという人気車だが、最初に登場したのが、バモス登場と同じ昭和45年(1970年)であった。軽自動車初の量産型四輪駆動車として農林業や雪国の貨物自動車として重宝され人気車となった。
だが、スズキ自動車としては最初からレジャー用車として使ってほしいという意図があったようだ。初期のCMを見るとそれがわかる。カウボーイハットのタレントが運転するジムニーが砂浜を縦横無尽に走るというシーンが出てくる。アメリカンスタイルでレジャーのイメージを訴えているのである。
また、ダイハツ工業からは、これもまた同じ昭和45年(1970年)にダイハツ フェローバギィが出ている。ダイハツの軽自動車フェローをベースに作られた2人乗りのバギーである。100台の限定生産だったようだが、この車はもう完全に遊び車である。こう考えると、昭和45年(1970年)はまさに軽RV車のエポックメーキングな年と言えるかもしれない。

スズキ ジムニー
上の写真は昭和51年(1976年)から販売された550ccのジムニーである。初代よりは一回り大きくなっている。本格的四輪駆動車として大いにアウトドア・レジャーに活用された。
上の写真は昭和51年(1976年)から販売された550ccのジムニーである。初代よりは一回り大きくなっている。本格的四輪駆動車として大いにアウトドア・レジャーに活用された。

ダイハツ フェローバギィ
ダイハツ フェローピックアップをもとに作られた、二人乗りのバギー。エンジン、シャーシ、足回りなどはそのままに、FRP製のボディを取り付けている。
【Mytho88, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons】
ダイハツ フェローピックアップをもとに作られた、二人乗りのバギー。エンジン、シャーシ、足回りなどはそのままに、FRP製のボディを取り付けている。
【Mytho88, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons】
