上位クラス車のエンジンを大衆車に。
こんな状況の中で、昭和45年(1970年)カローラレビンが登場する。きっかけは同じ年に売り出されたトヨタセリカの2T-G型DOHCエンジンをカローラに乗せたら面白いのではないかというトヨタ社内の声であった。
セリカといえばトヨタのスペシャリティーカーというコンセプトで開発された上級モデル。レースでも活躍できる車である。しかも2T-G型はそのセリカの中でも最上級モデルに搭載されたエンジンである。そんなエンジンを車重の軽いカローラに乗せたらどうなるのか。当然のことながら、それはとても大衆車ではなくスポーツカーの域に達した車になってしまったのだ。

トヨタ セリカ1600GT
ダルマという愛称で呼ばれたセリカ1600GTクーペである。スペシャリティーカーとして話題になった。
【Mytho88, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons】
ダルマという愛称で呼ばれたセリカ1600GTクーペである。スペシャリティーカーとして話題になった。
【Mytho88, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons】

またトヨタは、レビンの高性能を強調するためにこの車をツーリングカーレースにも出場させる。そして目論見通り、カローラレビンは1600ccクラスのレースで好成績を収めるのである。
上級のエンジンを積んだこと、レースで活躍していること、こんな車を車大好き人間たちが見逃すはずはない。比較的低予算でスポーツタイプの車が手に入れられるということでカローラレビンは若者たちを中心に人気を得てゆく。この後、平成12年(2000年)までほぼ30年にわたり改良と販売が続けられるのである。
