生活の道具としての自動車。
そして車が生活に必須のものとなった現代は、FF車はごく普通、というか標準の仕様になっている。
逆にFRの車は、車好きの人が楽しむスポーツカーや高級車ぐらいで、数が少ないというのが実際の状況だ。FFがここまで当たり前のものとなるとは、チェリーを開発した日産も想像していなかったことだろう。
車の道具としての使いやすさを訴えたFF車チェリーは、そのデザインの良さもあって好評を持って迎えられた。次いで二代目登場となるのだが、二代目チェリーでは、少しおとなしいデザインとなってしまう。
しかし、日産自動車は今度は明確に若者をターゲットとした戦略でチェリーを売り込んだ。当時のアイドル秋吉久美子をCMで起用。キャッチフレーズは「クミコ、君をのせるのだから。」であった。
日産チェリーFⅡのCM
秋吉久美子を起用しCMを展開。「愛する人を安心してのせる車です。」とのナレーションが入り、「クミコ、君をのせるのだから。」と男性の声での語りが入る。走り云々ではなく、車の安全性や快適性を訴えている。
秋吉久美子を起用しCMを展開。「愛する人を安心してのせる車です。」とのナレーションが入り、「クミコ、君をのせるのだから。」と男性の声での語りが入る。走り云々ではなく、車の安全性や快適性を訴えている。
このようにして日産自動車は、チェリーを運転を楽しむ車ではなく、彼女とのデートを楽しむような若い人向けの車とした。当時の普通の若者がみんな彼女とのデートを楽しんでいたわけではなかっただろうが、この広告には確かにインパクトがあった。
この後、ユーザーの車購入の目安には、単なるカッコよさや車としての性能だけではなく、生活の道具としてという項目も加えられるようになるのである。
