フォード タウヌス

ドイツ生まれのフォード車、タウヌスP3。

さて、このP2に続いて1960年に登場したのが、タウヌスP3だ。このページの最初に掲載したタウヌスである。P3は、全くデザインを変えての新登場であった。P2はアメリカで設計されたものであったが、このP3はドイツ生まれのカーデザイナーウーヴェ・バーンセンがデザインを行った。つまりこのP3からドイツ生まれのフォード車ともなったのである。

タウヌスP3には、P2のような派手なグリルもフィンもない。しかし、エアロダイナミクスを考慮したフォームが美しい。さらに、楕円形のヘッドランプとそれに沿うように配置されたフロントグリルも個性的だ。一部にアメリカ車の影響が見られるが、基本的にデザイン重視のヨーロッパ車になっていると言えるだろう。そしてこの車は、商業的にも成功する。

タウヌスP3のCMと実車紹介動画
最初に当時のCMを紹介し、続いて車の外観、内装、走る姿などを紹介している。

中型車は、自動車メーカーの製品ラインナップの中核とも言える。その中型車に思い切ったデザインを採用するのは、メーカーにとっては冒険でもある。しかし、ドイツ・フォードは敢えてそれを行い成功したのである。

流れるフォームと愛嬌のある顔。

タウヌスP3の成功は、こうしたドイツ・フォードの思い切りの良さに寄るところが大きいと言えるだろう。さらにそれ以上に、流れるようなフォームを重視する車作りがこれから主流になることを予見していたという点も見逃せない。

そのおかげでタウヌスP3は、ドイツの、そしてヨーロッパの景色の中に溶け込む美しい車となった。また、この車は人々から「バスタブ・タウヌス」という愛称でも呼ばれた。緩いカーブを基調とした丸い形がバスタブに見えたのだろうか。

「バスタブ」という愛称が、愛嬌のある顔からではなく、全体的なイメージから付けられているところを見ると、この車のフォルムがいかに当時の人々に衝撃を与えたかがわかるのである。

ドイツの街とタウヌスP3
ドイツの街とタウヌスP3
ドイツの街ライプツィヒで1965年に撮られた写真。タウヌスP3がヨーロッパ車として違和感なく収まっている。隣にはアウトウニオンが、その隣にはベンツが見える。
Bundesarchiv, Bild 183-D0226-0001-003 / CC-BY-SA 3.0, CC BY-SA 3.0 DE, via Wikimedia Commons】
スイスの形式とタウヌスP3
スイスの景色とタウヌスP3
タウヌスP3でスイス観光を楽しんでいる。特徴ある車の後ろ姿が景色にとけ込んでいる。1964年撮影。
Willem van de Poll, CC0, via Wikimedia Commons】