スバル サンバー

こだわりのスバルの答えだった。

もともとサンバーがキャブオーバーを採用したのは、スバル360の技術を応用し、リアエンジンとしたためであった。しかも、キャブオーバーは運転席が前輪の上にあるため、事故の際には運転手が危険というデメリットもある。

しかし、スバルでは、キャブオーバーの方がボンネット車と比較して前が見やすく事故の予防において有利であるという研究結果から、敢えて積載力を優先させたキャブオーバー型にしたという話がある。

実際にこの後、スバルの軽乗用車がフロントエンジンになってもサンバーはリアエンジンにこだわり続けた。軽の商用車にとってはそれが最適であるという絶対の自信をスバルは持っていたのだ。

求められるのは何かをユーザーの視点から考え、自分たちの持つ技術を使って最適な答えを探り、それを形にする。自動車メーカーにとっては当たり前のことではあるが、昭和30年代にそれを商用の軽自動車で実践したのが、このスバル サンバーなのである。

サンバーの実車動画
旧車のイベントで見られた初代サンバーの動画である。外観をはじめ運転席の様子や足回りなどが撮影されている。360cc時代の軽自動車だが、運転席が意外と広くて乗りやすそうである。
観光地である鬼押出し園の駐車場の写真
駐車場で見られたサンバー
絵葉書だろうか、昭和39年(1964年)に群馬県の観光地である鬼押出し園の駐車場を撮影したカラー写真。当時の懐かしい日本車を見ることができる。この頃にはすでに自家用車でドライブというレジャーがあたりまえのものとなりつつあった。手前の列のいちばん左にサンバーが停まっている。また、奥から2列目の真ん中あたりにもサンバートラックがいる。結構人気車であった。
Alden Jewell, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons】