ルノー12

ヒットしたルノー12。

このようにして開発されたルノー12は、普通の外観、機構を持つ常識的な車となった。個性的な車の多かった当時のルノーのラインアップの中では、この普通さがかえって目立つ存在ともなったのだから皮肉である。

しかし、こんな普通の車ではあったが、その乗り心地のよさやパワフルな走りが評判となり、ヒットすることになる。

ルノー12は、通常のセダンを始めワゴンやパネルバン、ピックアップなど車種も幅広く作られた。また、エンジンを強化し、4輪ディスクブレーキを備えたスポーツタイプのルノー12ゴルディーニも派生車種として有名である。

最高時速は185kmを出し、鮮やかなブルーに白のストライプという印象的なカラーに塗られたゴルディーニは、人々から注目され、レースにも出場した。あまりよい成績は残せなかったようだが、普通の車を目指していながらこうした遊び心も忘れないのは、やはりフランス車ルノーの心意気なのだろう。

ルノー12ゴルディーニ
ルノー12ゴルディーニ
ルノー12のスポーツタイプとして登場。ブルーに白いストライプが眩しい。レースにも出場した。なお、ゴルディーニとは、車のチューンアップメーカーであり、ルノーの一部門となり多くのルノー車のチューンアップを行っている。
Bergfalke2, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons】

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ルノー12のもうひとつの目的とは。