戦後型の車MGB。
そこでMGは、それまでとは異なるスタイルの車MGAを1955年に発表する。このMGAもツーシーターのオープンカーで、1500CC直列4気筒エンジンを空力設計が施されたボディに載せた車であった。曲線を基調としたボディデザインは、今見てもかなり洗練されており、MGBより好感を持つ人も多いのではないだろうか。
MGBは、そのMGAに続く車であり、1962年に登場した。MGBは当時の車の一般的な構造となりつつあったモノコック構造、つまりボディとフレームの一体成型を採用し、各部に改良を施した近代的な車であった。しかも、小型で軽い車体に1800cc直列4気筒エンジンを搭載。パワフルで運転しやすく、信頼性の高いオープンカーとして人気を得、大ヒットするのである。
MGAは、やわらかな曲線が美しい車だが、やはり戦前からのスタイルを受け継いでいた。それに比べるとMGBはスッキリしたデザインの戦後型と言える。戦前の車と比べると車高が低く、車幅は広く、安定感がある。路面を滑るように走り、ハンドリングにもしっかり応える。そんな運転することの楽しさを味わえるオープンカーに仕上がっていたのである。

MGA
1955年に登場したMGA。MGの戦後型オープンカーの第1弾である。曲線が主体のスタイリングは、今見ても好感が持てる。
【Michael Barera, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons】
1955年に登場したMGA。MGの戦後型オープンカーの第1弾である。曲線が主体のスタイリングは、今見ても好感が持てる。
【Michael Barera, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons】

MGBのスタイル
MGAと比べると、より幅が広く、安定感があるスタイルとなっている。このモデルは1967年式である。
MGAと比べると、より幅が広く、安定感があるスタイルとなっている。このモデルは1967年式である。
MGBは、今でこそ当たり前のオープンカーのスタイルではあるが、当時の車好きには、このスタイルが堪らなかったのである。その点でMGBはオープンカーの歴史を作ったとも言えるかもしれない。