ランボルギーニ 350GT

ランボルギーニとは、どんなメーカー?

では、ここでまず、自動車メーカーとしてのランボルギーニについて語ってみたい。創業者はイタリア人のフェルッチオ・ランボルギーニで、創業は1963年である。

創業者のフェルッチオという人物の経歴がまた面白い。彼は、機械いじりが好きで第二次大戦中は自動車部隊の配属となり、戦後は軍が放出したトラックを修理、改造して販売する仕事を始めた。それが軌道に乗ると、1949年にはトラクターの製造、販売を行う会社を作り成功する。さらに1960年には、ボイラーとエアコンの製造、販売も行うようになる。

創業者フェルッチオと車とトラクター
フェルッチオ・ランボルギーニ
自社の作ったトラクターと車の間でご機嫌なフェルッチオ。1970年頃に撮られたものである。なお、左の車は1970年登場のランボルギーニ ハラマである。
archivio, Public domain, via Wikimedia Commons】

事業に成功し富を得ると、フェルッチオは趣味で超高級車、つまりスーパーカーの収集を始める。そして、お金持ちの証とも言えるフェラーリを所有するようになるのだが、彼は単にフェラーリを持つことで満足はしなかった。

フェラーリは性能的に優れた車ではあったが、故障が多かった。また、彼にとっては、どのスーパーカーも狭かったり、暑かったりでドライブを心から楽しめる車ではなかった。自分だったらもっと優れた、快適なスーパーカーを作れるのに・・・やはりこの点でフェルッチオは、根っからの機械屋、メカニックだったのだ。

そこでフェルッチオは、スーパーカーの開発チームを作り、プロトタイプの350GTVを開発、製造。1963年にトリノで行われたモーターショーで公開する。量産車を目指した車ではあったが、マスコミにも取り上げられ話題となった。そしてこの時、自動車の製造、販売を行うメーカーとしてのランボルギーニが誕生する。

次ページ
350GTは、初の量産型スーパーカー。