やっぱり、車はデザインだ!
実は、国外のカーデザイナーがデザインした日本車は117クーペが最初ではない。例えば、プリンス自動車のスカイライン スポーツという車がある。日産自動車がプリンス自動車を吸収合併する前のスカイラインで、吊り目型のヘッドライトが個性的な車であった。
このスカイライン スポーツ、イタリアのデザイナーであるジョヴァンニ・ミケロッティがデザインしている。登場は、昭和37年(1962年)なので、117クーペの6年も前の車である。また、昭和41年(1966年)のマツダ ルーチェの初代も海外デザイナーだ。なんと117クーペと同じジョルジェット・ジウジアーロである。
スカイライン スポーツも、マツダ ルーチェも、当時の日本車には見られないスタイルのよさが特徴的なのだが、やはり、その頃はカーデザインそのものの概念が日本人に浸透していなかったのだろう。あまり大きな話題にはならなかったようだ。
しかし、いすゞ117クーペは違っていた。ジウジアーロがデザインしたという事実が大きなインパクトを持って迎えられたのである。いや、さらに言うなら、117クーペによって、自動車にもデザイナーというプロが関わっているのだということに日本人は気づかせられたのである。

いすゞ 117クーペ
職人が手作業で作った初期型の117クーペである。イエローのボディカラーとも相まって、まさに惚れ惚れするような美しさである。2023年に日本の岐阜県で開催されたクラシックカーイベントで撮影されたもの。
【先従隗始, CC0, via Wikimedia Commons】
職人が手作業で作った初期型の117クーペである。イエローのボディカラーとも相まって、まさに惚れ惚れするような美しさである。2023年に日本の岐阜県で開催されたクラシックカーイベントで撮影されたもの。
【先従隗始, CC0, via Wikimedia Commons】
