プリンス グロリア

広く、低い、フラットデッキの車。

さて、こうした経緯で生まれたグロリアだが、2代目グロリアは初代とは大きくデザインが変わっている。それは、幅が広く、高さが低いことである。以前よりワイドでフラットな自動車であるということだ。こうした車をフラットデッキスタイルと言い、当時の世界的な流行でもあった。

プリンスグロリアの側面・前面・背面
プリンス グロリアのスタイル
背が低く、幅が広いフラットデッキスタイルである。随所に見られる飾りモールも特徴的だ。

自動車の形は、第二次世界大戦の戦前と戦後では大きな変化を見せる。戦前の車はボンネットとフェンダーがはっきりと別れた車が多かったが、戦後になるとボンネットとフェンダーを一体化したスマートな車が作られるようになった。ポンツーン型とかフラッシュサイドと呼ばれるスタイルである。

そして1950年代になるとボンネットが低いフラットデッキスタイルが登場するようになる。最初はスポーツカーによく見られたが、次第に普通の乗用車にもそれが登場するようになる。

日本では、1960年代になるとフラットデッキの車が登場してくる。そもそも1960年あたりから日本の自動車メーカーは、海外メーカーの車のライセンス生産ではなく独自に開発した車を出すようになってきていた。ちょうど自分たちの車を作ろうとしていた時代にフラットデッキスタイルが最先端だったわけだ。

日本のメーカーの普通乗用車でフラットデッキスタイルを採用したのは、2代目プリンスグロリアと2代目トヨタクラウンだった。両方の車ともちょうど同じ時期にフラットデッキとなったのである。だが、そのフラットさはグロリアの方が際立っていたのだろう。フラットデッキのグロリアと呼ばれ話題となったのである。

2代目プリンスグロリア
2代目プリンス グロリア
このページで取り上げているプリンスグロリアの実車である。フラットさが際立つ車であった。写真は上位グレードのスーパー6である。
me, Public domain, via Wikimedia Commons】
初代プリンスグロリア
初代プリンス グロリア
ライトとフェンダーとボンネットが一体の、いわゆるポンツーンスタイル。全体的に高く、ズングリした印象だが、戦後すぐはこのスタイルが流行だった。
Kzaral, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons】
2代目トヨタクラウン
2代目トヨタクラウン
昭和37年(1962年)発売のクラウンの2代目。ちょうど2代目グロリアと同じ時期にトヨタもフラットデッキを導入した。
I, 天然ガス, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons】

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道路事情とグロリアの関係。