フォード コルティナ

ヒット車であるならば、アンチもいる。

さて、ミニといえば、誰もが知る名車である。横置きエンジンの前輪駆動。小型ながら乗車スペースを大きく取ったそのスタイルは、革命的とまで評された。いかにもイギリスを感じさせる車でもある。1959年に登場したミニはイギリス国内で好評を博しすぐにヒット車となった。

しかし、個性的な車であるということは皆に称賛される反面、アンチも出てくるのが普通である。それまでの車には見られなかった思い切りのよいスタイルではあったが、それが好き嫌いを生むことにもなった。つまり、ミニが大好きな人もいれば、「あの小さな車ではなくて普通の乗用車に乗りたい!」そんな人もいたということである。

そうしたニーズに応える形でフォードコルティナは企画された。ミニのように小さくはない普通の大きさ、機能、設計、スタイルの車を目指したのである。

さらに、ミニは先進的なシステムを小さな車体に詰め込んでいたので設計が複雑であった。そのため販売価格が大きさに比べて割高であるというデメリットもあった。そこでコルティナは、普通サイズの車で割安感のあるモデルとしたのである。

街角に停車しているコルティナとミニ
街で見られたコルティナとミニ
ノッティンガムのプレイハウスの近くで1967年に撮影された写真。ミニの前にフォードコルティナが停車している。コルティナもミニも、当時の庶民には一般的な車として利用されていたのがわかる。
【John Sutton / Nottingham Playhouse, 1967

次ページ
よく見ると意外と個性的なコルティナ。