フォード エスコート

ヨーロッパフォードの最初の車。

さて、最初に述べたが、エスコートはヨーロッパフォードが出した車である。では、ヨーロッパフォードとは何か?

フォードはもともとアメリカのメーカーだが、1909年にイギリスで、続いて1925年にはドイツでフォード車を扱う法人が生まれた。このイギリスとドイツのフォードは、次第に各国の状況にあった独自の車の製造、販売を行うようになり、有力な自動車メーカーへと成長する。

1967年、そのイギリスとドイツのフォードが合併して生まれたのが、ヨーロッパフォードである。そして、ヨーロッパフォードとして初めて製造したのがこのフォード エスコートであった。したがって、初めての車ということで力が入っていたわけで、この当時の流行を取り入れつつユニークなデザインも施した車となったわけである。

ファミリーカーとして登場したのだが・・・。

フォード エスコートの前身にあたるのは、イギリスフォードのフォード アングリアである。戦前の1939年からモデルチェンジを繰り返して生産されてきた小型のファミリーカーだ。

その最終モデルであるアングリア105Eがこれまた愛嬌のあるデザインで、口のように見える大きなラジエターグリルが特徴だ。映画「ハリーポッター」の第1作で空を飛ぶ車となって登場している。いかにもイギリスというイメージの車、しかも一般向けのファミリーカーということで登場したのだろう。

エスコート、アングリア、プリフェクトの3台が並んでいる
ヨーロッパの個性派フォード揃い踏み
ニュージーランドにある「ワナカ交通とおもちゃの博物館」で見られたヨーロッパフォードとイギリスフォードの車たちである。奥のピンク色の車は1953年登場のプリフェクト100E、真ん中は1959年登場のアングリア105E、そして手前がエスコートである。どの車もひとくせある顔つきなのがいい。
Riley from Christchurch, New Zealand, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons】

エスコートはこのアングリアに続く車なのであるから、一般庶民向けのファミリーカーということになる。しかし、エスコートは、国際的なラリーで活躍した車として語られることが多い。家族向けのおとなしい車というよりも、モータースポーツの覇者というイメージが強いのである。

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ラリーカーとして有名なエスコート。