ディアーヌも売れるには売れたが・・・。
シトロエンの新型車であるということと、積極的な宣伝活動によってディアーヌは発売2年目から年間約10万台を製造する車となった。それはそれで成功と言える。ところが2CVも同じように売れ続けたのである。
ディアーヌのアニメCM
ポルトガルで流されていたCMのようである。よく走るのでガソリンスタンドが暇になるといった内容。
ポルトガルで流されていたCMのようである。よく走るのでガソリンスタンドが暇になるといった内容。
ディアーヌ宣伝フィルム
イタリアシトロエンのディアーヌを紹介するフィルムである。足回り、エンジン、居住性、荷室の広さなどが細かく紹介されている。
イタリアシトロエンのディアーヌを紹介するフィルムである。足回り、エンジン、居住性、荷室の広さなどが細かく紹介されている。
通常はモデルチェンジなどで新型車がリリースされると、旧型車は製造を終えるものである。しかし、2CVは製造を継続していた。やはり市場からの熱い要望があったのだろう。そして、新型車ディアーヌ発売当初こそ2CVの製造数は落ち込むが、1970年にはディアーヌを抜いてしまうのである。
それ以降、ディアーヌの製造数が旧型の2CVの製造数を抜くことはなく、1984年にはディアーヌは製造を終えてしまう。一方、2CVは、1990年まで製造が続けられるのである。

街角に並んで駐車する2台
ディアーヌ(後)と2CV(前)が仲良く並んで駐車している。1975年にオランダで撮影された。
【Rijksdienst voor het Cultureel Erfgoed, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons】
ディアーヌ(後)と2CV(前)が仲良く並んで駐車している。1975年にオランダで撮影された。
【Rijksdienst voor het Cultureel Erfgoed, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons】
メーカーは、2CVは古臭い、田舎臭いと考えて新型車を作ったわけだが、ユーザーの方はそう考えていなかったのだ。「ちょっとおしゃれで街乗りにピッタリな車。」「あの個性がたまらない。」なんて、ユーザーは2CVを愛していたのである。「こんな車はもう二度と生まれないだろう。これはフランスの国宝だ!」とまで思ったかどうかは知らないが、古臭さをこよなく愛した人もいたことだろう。
このように後継車が育たない車は2CVだけではない。イギリスのミニやフォルクスワーゲンのビートルもそうだ。しかし、こればかりは歴史のなせるわざというか、どうにも予測はつかない現象でもある。
シトロエンディアーヌは、結局18年の間も売れ続け、最終的に144万台も製造されたのであるから決して失敗した車ではない。2CVが凄すぎたのである。
ディアーヌの走行動画
美しくレストアされた1981年製のディアーヌ。その細部や、走る様子を紹介する動画である。
美しくレストアされた1981年製のディアーヌ。その細部や、走る様子を紹介する動画である。
