ファストバックは、空力を考えた形状だ。
ところで、ファストバックとは何だろうか。バック、つまり自動車の後部の形のことを指しており、屋根から後部までがひと続きの傾斜になっているスタイルのことである。普通の車は、車の屋根とその後ろのトランクには段差があるが、ファストバックはひと続きなのである。
ファストバックは、もともと1930年代に流行した流線型の車によく見られた形で、車の後部の流れるようなラインが特徴である。実際にファストバックの車は、普通の形の車に比べ空気抵抗が少ないという空気力学上のメリットもある。
戦後の日本車の中で、ファストバックの形状を本格的に取り入れ、それを特長としたのは、この三菱コルト800が最初である。当時のコルトのカタログを見ると、「スピードという機能追求から生まれた流麗なファストバックスタイル・・・」と書かれている。やはり、販売においても空気抵抗の少ない流線型を意識しているのだ。

初期のファストバック
この不思議な車は1936年のスタウト スカラベである。流線型が流行した1930年代にはこんな車が登場した。ルーフが車の後部まで続くスタイルから、初期のファストバック車と言える。
【Jim Evans, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons】
この不思議な車は1936年のスタウト スカラベである。流線型が流行した1930年代にはこんな車が登場した。ルーフが車の後部まで続くスタイルから、初期のファストバック車と言える。
【Jim Evans, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons】

キャデラックシリーズ62
1949年型キャデラックシリーズ62の後部である。ルーフから後部のウィンドウ、トランクまで流れるラインでデザインされている。この頃、ファストバックという言葉が一般でも使われるようになってきていた。
【Kevauto, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons】
1949年型キャデラックシリーズ62の後部である。ルーフから後部のウィンドウ、トランクまで流れるラインでデザインされている。この頃、ファストバックという言葉が一般でも使われるようになってきていた。
【Kevauto, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons】
