スズキ キャリイ

あのジウジアーロがデザインした。

この車、全体的にスマートで垢抜けた印象だ。それもそのはず、4代目キャリイは、商用車ながらイタリアのデザイナージョルジェット・ジウジアーロがデザインしているのである。ジウジアーロと言えば、日本人にとって馴染みがあるのは、いすゞ117クーペだろう。いや、いすゞ117クーペがジウジアーロのデザインであることを知り、かっこいい車にはデザイナーがいるのだと認識した人も多いだろう。

いすゞ117クーペ
いすゞ117クーペ
ジウジアーロデザインと言えばまず思い出すのはこの車。かっこいい車はイタリアン・デザインなのである。
Tennen-Gas, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons】
フォルクスワーゲン ゴルフ
フォルクスワーゲン ゴルフ
1974年に登場しヒットしたゴルフもジウジアーロデザインだ。直線的なデザインがキャリイを彷彿とさせる。
Kazuyanagae, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons】

スズキはなぜ軽の商用車のデザインを海外のデザイナーに依頼したのだろうか。この車は、彼女を横に乗せて海岸通りをドライブするような車ではない。商品の配送や荷物の運搬に使う車なのである。しかし、ここがスズキのスズキたる所以でもあるのだ。

スズキがキャリイの初代を登場させたのは、昭和36年(1961年)。スズライト・キャリイという名前で、当時全盛期を迎えていた軽のオート三輪に対抗する軽四輪商用車として投入された。しかし、同時期にはスバル、ダイハツなどからも軽四輪の商用車が出されており、最初からライバルが多い市場への参入でもあった。

そこで4代目のスズキ キャリイにはそれまでの軽四輪商用車にはなかった新しさ、魅力が求められると考えたのだろう。それも他のメーカーが気づかないような新しさである。

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デザインにこだわった、その理由は。