BMW700の成功により、BMWは危機を脱した。
BMW700は、当時の一般庶民、つまり、いまさらマイクロカーではないが大型車を買えるわけでもないという人々を引き付けた。手軽な値段でスポーツカーのようなドライブが楽しめる車としてヒットしたのである。当時の広告でもこの車のスピード、運転しやすさ、悪路走破性などさまざまなメリットが紹介されている。
BMW700の広告映像①
高速走行や不整地走行など700の走りが強調されている。
高速走行や不整地走行など700の走りが強調されている。
BMW700の広告映像②
運転のしやすさやスタイルのよさなどを訴えている。
運転のしやすさやスタイルのよさなどを訴えている。
また、BMW700は多くのレースにも参戦し、数々のタイトルを獲得した。実際にそれだけの能力を持った車だったのである。ちなみに最初のページに掲げたBMW700スポーツだが、それは1961年のブリティッシュ・エンパイア・トロフィーに出場した車である。
そして、このBMW700の成功により、BMWは経営危機から脱することができた。ベンツによる吸収合併計画もあったが、それも回避できた。BMW700は、会社の経営立て直しのまさに立役者となったのである。
レースで活躍するBMW700
この動画の最初の部分に当時のフィルムが収録されている。
この動画の最初の部分に当時のフィルムが収録されている。
車のメーカーとしての想いとユーザーニーズが一致。
このように、BMW車のシンボルであるキドニーグリルの無い車が、BMWの救世主となったのだから皮肉なものである。最も、BMW自体が生き残れるかどうかの瀬戸際だったのだから、キドニーグリル云々という状況ではなかったのだろう。しかし、戦前から高性能エンジンやバイク、車を開発してきたBMWとしては、自分たちの技術力を結集した車をここで作りたかったというのは、正直なところなのではないだろうか。
戦争が終わり、再出発したものの思うようには売れず、マイクロカーのライセンス生産でお茶を濁して来たが、ここで自動車メーカーとして本格的な車を、という想いがBMWにはあったに違いない。その想いが、車を求める当時のユーザーのニーズと一致したのである。
