ダットサン ブルーバード

憧れだったブルーバードSSS。

この当時のブルーバードと言えば合言葉のように出てくるのがSSS、つまりスリーエスだ。SSSとは、スーパー・スポーツ・セダンの略で、車のグレード名である。だが、SSSと聞くだけで、車大好き人間はワクワクが止まらなくなった。そんな神通力のある名だったのである。

このグレード名の流れは、2代目からすでに存在していた。エンジンのグレードをアップしたタイプをスポーツ・セダン(SS)と名付け、スポーティなドライブが楽しめるモデルとしたのである。そのSSのさらに上のグレードとして登場したのがSSS、スーパー・スポーツ・セダンである。

このSSSが注目され、大いに人気を集めたのが、3代目のブルーバードである510型からである。エンジンは1600CC直列4気筒を積み、サスペンションは日産初の四輪独立懸架を採用していた。

SSSは、ラリーで3冠を達成した。

そのSSSの凄さは単に名前だけではなかった。レースでその性能を実証して見せた。昭和45年(1970年)の東アフリカサファリラリーにおいて総合、クラス、チームの各部門で優勝し、日本車初の3冠を達成したのである。ひどい砂埃の中や泥沼となった道を突っ走る過酷なレースを制する・・・これはまさに快挙であった。

さらに、ブルーバードの活躍は石原裕次郎主演の映画「栄光への5000キロ」でも取り上げられる。これは、昭和41年(1966年)の東アフリカサファリラリーでのブルーバードの活躍を記した原作をもとに、映画製作会社が日産自動車とタイアップして制作した映画である。当時の日本映画としては破格の4億円という巨費が投じられていた。実際にこの映画では、ブルーバード510型が撮影を兼ねてラリーに出走し、総合5位に入賞している。

サファリラリー優勝車
サファリラリー優勝車
昭和45年(1970年)の東アフリカサファリラリーで優勝したブルーバード。前年の映画「栄光への5000キロ」に登場した510型と同じカラーリングで出場し、優勝を果たした。
韋駄天狗, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons】
「栄光への5000キロ」予告編
この映画の原作は410型が出場した昭和41年のラリーの話だが、映画では当時の現行車種である510型が登場。実際にラリーにも出場した。

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海外で注目されたブルーバード。