箱型という特徴が商売に貢献。
市場の人気を得てフォルクスワーゲンタイプ2は、この後、商店や企業の配送用車として大いに活躍したのだが、小型の箱型パネルバンという当時はまだ珍しかったこの車の形は、1950年代中盤から60年代にかけての商業に大いに貢献することになった。
それは、企業や商店が、タイプ2の広い車体面全体に商品の絵や名前、キャッチフレーズなどをを大きく掲げることができたからである。この車が街を走り回るだけで、効果的な宣伝ともなった。独自のデザインを施したタイプ2を、まさに企業の広告戦略として活用したわけである。

スイス航空のサンババス
1960年代にスイス航空が使っていた車。顧客の送迎用だろうか。側面に飛行機が大きく描かれている。
【Ank Kumar, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons】
1960年代にスイス航空が使っていた車。顧客の送迎用だろうか。側面に飛行機が大きく描かれている。
【Ank Kumar, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons】

コシオのキャンペーン車
デンマークの清涼飲料水であるコシオの広告車。描かれている女性はアメリカ女優エヴァ・メンデス。この広告キャンペーンは2010年だが、1960年代のタイプ2をわざわざ使って、懐かしい広告の雰囲気を演出したものらしい。
【Royal Export, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons】
デンマークの清涼飲料水であるコシオの広告車。描かれている女性はアメリカ女優エヴァ・メンデス。この広告キャンペーンは2010年だが、1960年代のタイプ2をわざわざ使って、懐かしい広告の雰囲気を演出したものらしい。
【Royal Export, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons】
戦争が終わって10年以上が経過していたこの時代は、戦後の広告活動が一気に花開いた時代でもある。テレビや雑誌などのマスコミ広告が一気に拡大するとともに、街や商店におけるセールスプロモーションも大いに行われていた。
このページの最初に掲載したタイプ2は、イタリアのPaiという菓子メーカーの配送車である。Paiは、イタリアではポテトチップスで知られた戦後生まれのメーカーで、商品の配送のために白、黄色、赤で塗り分けた配送車を街中に走らせていたようである。その配送車にタイプ2も使用されていた。目立つ色使いのボディにキャラクターを大きく描いたタイプ2は、いやが上にも目立ったことだろう。
PaiのCM
1960年代に流されていたPaiの企業CMである。ポテトチップスが作られる様子や製品の研究開発などが紹介されている。配送車も何台か出てくるが、その中にタイプ2も登場。黄色、白、赤に塗られた車はPaiのイメージづくりに大いに役立っていたのだろう。
1960年代に流されていたPaiの企業CMである。ポテトチップスが作られる様子や製品の研究開発などが紹介されている。配送車も何台か出てくるが、その中にタイプ2も登場。黄色、白、赤に塗られた車はPaiのイメージづくりに大いに役立っていたのだろう。
