トヨペット トヨエース

二代目は、オジサン顔だった。

さて、二代目のトヨエースであるが、初代から大きくデザイン変更された。特にキャビンのデザインは凹凸の少ないシンプルなものとなった。これは大量生産に対応したためでもある。しかし、そのシンプルなデザインが、この車のアイデンティティを決定づけるものともなった。

初代と比べてみるとよく分かるが、この車の前面は完全に顔に見える。2つのヘッドライトが目であり、ベンチレーターが鼻、下のグリルが口である。

フロントが人の顔に見える自動車は少なくないが、このトヨエースほど顔に見える車はないのではないか。しかも、商売に使う小型トラックであるがゆえに「働くオジサン」というイメージがピタッと来るのである。

トヨエースを前から見た
トヨエースのオジサン顔
目と鼻と口が微妙なバランスで揃っていて顔に見える。
廃車となったトヨエース
ひっそりと佇むオジサン
すでに役目を終えたのだろう。ナンバーの外されたトヨエースである。オジサン顔であるがゆえか、どこか哀愁が漂う。
Tennen-Gas, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons】

このページの最初に昭和30〜40年代の街ではよく見かけたトラックと書いたが、実際に昭和34年(1959年)登場の二代目トヨエースは、昭和46年(1971年)まで10年以上も製造されていたロングセラーであった。

それに加えてこの車の「働くオジサン顔」が効果的だったことも間違いない。他のメーカーのトラックやバンも街にはたくさん走っていたはずなのであるが、この顔はやはり目立つのである。

商用車がオート三輪から四輪トラックへとシフトする時代に生まれ、ヒットしたトヨエース。特に二代目トヨエースは、誰もが知っているオジサン顔のトラックとして街中で活躍した。まさにこの時代の“街の顔”ともなったのである。

昭和の銀座を走る
昭和38年(1963年)の銀座を走る自動車を撮影した貴重な動画だ。当時のNHKニュースで流されたフィルムである。セドリック、クラウン、コロナなど往年の名車が走る中に二代目トヨエースの姿も見ることができる。