トヨペット トヨエース

時代の流れがトヨエースに味方した。

この当時、競合するオート三輪は、大型化や装備の充実が進んでいた。便利に使われ人気もあったオート三輪だが、やはり積載量や運転のしやすさ、居住性の点で問題を抱えていたのである。しかし、そんなユーザーニーズに応え改良を進めると価格は上がらざるを得なくなる。トヨエースが登場する頃には、オート三輪と四輪トラックとの価格差はかなり縮まっていた。

さらに、この頃から日本各地の道路の整備も進み、自動車はより高速で走ることができるようになってきていた。ここでも、高速では不安定なオート三輪は敬遠されるようになっていったのである。

まさにトヨエースが登場した頃は、四輪トラックに追い風が吹いていた時代だった。トヨエースは発売当初こそ売上は低迷したが、発売翌々年の昭和31年(1956年)には価格をさらに大幅に下げ、PR活動を徹底して売り込みを行った。トヨエースという名前が付いたのもこの頃で、当時のトヨタの意気込みがうかがえる。

時代の流れに加え、トヨタの努力の甲斐もあってトヨエースは大ヒットする。実際、昭和32年(1957年)、四輪トラックの販売台数はオート三輪を上回ったが、その記録に大きく貢献したのはトヨエースであったに違いない。

二代目トヨエース紹介動画
昭和42年(1966年)型の二代目トヨエースを紹介する動画。2019年に行われた「昭和レトロカー万博」に登場した車とのことである。50年以上前の車だが美しくレストアしてある。

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二代目は、オジサン顔だっ
た。