共産圏の国だからこその車でもある。
個性的なルックスの中に、長年の研究、開発の粋を詰め込んだT603。リアエンジン・リアドライブ車の究極の形とも言えるような車に仕上がっていた車だが、利用者が限られていた。これもまた、チェコという国の事情であった。もしも、一般の人々に販売されていたら、誰もがその名を知る名車となっていたのかもしれない。
だが、逆に共産政権下の国の車という事情が、かえってタトラT603の独自性を際立たせたと言えるのではないだろうか。日本が鎖国により独自の文化を発展させたのと似たようなものである。
自由競争下で流行や人々の嗜好を追いながら開発していたのでは、この個性、独自性は生まれなかったかもしれない。西側諸国の車ほどスマートでもカッコよくもないが、この車にはタトラにしかない発想、技が生きており、他には見られない味わいがあるのだ。
タトラT603の実車動画
美しくレストアされたT603の動画。外観や内部の様子、走る姿などを見ることができる。この特異な車には世界中に熱烈なファンいる。
美しくレストアされたT603の動画。外観や内部の様子、走る姿などを見ることができる。この特異な車には世界中に熱烈なファンいる。
