ハードトップ車もラインアップ。
さて、シムカ アロンドの新しさはもう一つある。側面の窓に注目してほしい。そこには柱、つまりピラーがない。これは、ピラーレスハードトップである。
ハードトップとはよく聞く自動車用語だが、ハードトップとは何か。幌の屋根を乗せたオープンカーをソフトトップと言うが、金属の屋根を持ちながらそんなソフトトップ車を連想させる車をハードトップと言うのである。
このハードトップ、元祖はアメリカのキャデラック クーペドゥビルで、1949年に登場している。そして、ピラーレスハードトップ車は、50年代、60年代にアメリカ車の間で大流行することとなる。
アロンドにハードトップクーペがラインアップされたのは1953年で、グランラルジュという愛称も付けられた。アメリカに遅れること4年であり、これもまたヨーロッパ車では早めの導入と言えるだろう。
アロンドグランラルジュ
2013年にフランスのヨンヌで行われた旧車イベントに登場したアロンドグランラルジュである。運転席側の窓が開けられており、その後ろの窓との間に柱(ピラー)がないことがよくわかる。
【François GOGLINS, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons】
2013年にフランスのヨンヌで行われた旧車イベントに登場したアロンドグランラルジュである。運転席側の窓が開けられており、その後ろの窓との間に柱(ピラー)がないことがよくわかる。
【François GOGLINS, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons】

これがハードトップの使い方
一人の男性がアロンドのピラーレスの窓から外に出ようとしている。ハードトップクーペにはこうした便利な使い方もあるというのを示そうとしたのだろうか。なお、車のフロントデザインを見るとこのアロンドは初期の型である。
【Harry Pot / Anefo, CC0, via Wikimedia Commons】
一人の男性がアロンドのピラーレスの窓から外に出ようとしている。ハードトップクーペにはこうした便利な使い方もあるというのを示そうとしたのだろうか。なお、車のフロントデザインを見るとこのアロンドは初期の型である。
【Harry Pot / Anefo, CC0, via Wikimedia Commons】
このようにシムカ アロンドは、スマートなスタイルでしかもアメリカで流行のハードトップ車をラインアップするとてもトレンディな乗用車となったわけである。そして、アロンドのこのカッコよさは大いに受けた。シムカは1950年代から60年代にかけて急成長し、フランス第二位の自動車メーカーへと成長する。
その後シムカは、1970年にアメリカのクライスラーと合併することになるのだが、戦後の一時期急成長できたのは、やはりシムカ アロンドの成功によるところが大きいだろう。
戦後のフランス車と言えば、変わったスタイルの個性的な車が多い印象を受けるが、アロンドのようなスマートな車も存在し、大いに人気を得ていたことも忘れてはならない。
アロンド紹介動画
1956年製のアロンドグランラルジュを紹介する動画である。シムカというメーカーの話から始まり、アロンドの車種の紹介、走行動画など盛りだくさんの内容である。森の中の道を走るアロンドの姿が美しく撮影されている。
1956年製のアロンドグランラルジュを紹介する動画である。シムカというメーカーの話から始まり、アロンドの車種の紹介、走行動画など盛りだくさんの内容である。森の中の道を走るアロンドの姿が美しく撮影されている。
