ラリーで、奇跡の走り。
この車の頑丈さ、走行性能は各地で開催されるラリーでも実証された。このページの最初に掲げた写真のPV544も1965年のモンテカルロラリーに参加した車である。モンテカルロラリーは公道を走る競技だがコースには雪の山岳地帯も含まれており、アイスバーンの道を走り抜けるといった過酷なレースであるが、この時は33位で完走している。
そして、同じ1965年のサファリラリーでは、PV544は、奇跡のような優勝を果たすのである。
サファリラリーは東アフリカで行われるラリーだ。砂埃が舞い上がるダートを疾走し、雨が降ればひどいぬかるみで車は動かなくなる。世界一過酷なラリーとも言われている。その中で、地元のドライバージョギンダ・シンが運転するPV544が優勝する。
モンテカルロでは33位だったのだが、サファリラリーでは堂々1位である。しかも、その車は前年にボルボが参加し、大破したため地元に残していった車であった。その車を地元のドライバーが修理し整備して参加したのである。

サファリラリーで優勝
地元のドライバーであるジョギンダ・シンの運転するPV544。1965年のサファリラリーでは、PV544の性能、耐久性が実証された。この前年に大破した車を駆っての優勝であった。
【Volvo Cars, Public domain, via Wikimedia Commons】
地元のドライバーであるジョギンダ・シンの運転するPV544。1965年のサファリラリーでは、PV544の性能、耐久性が実証された。この前年に大破した車を駆っての優勝であった。
【Volvo Cars, Public domain, via Wikimedia Commons】
誰も予想していなかった優勝であった。確かにドライバーが地元の道の状況をよく理解していた人間であったという点が大きな勝因ではあろう。しかしそれ以前に、PV544が頑丈であり、操作性にもすぐれた車であったという点を忘れてはならない。
サファリラリーとはまさしく何が起こるかわからないレースである。新しい車やスポーツカーが参戦する中で一昔前のスタイルをしたPV544が参加。しかも一度壊れた車を復活させての参戦である。
古臭くても、多少壊れていたとしても走る車は走る。ラリーの面白さを教えてくれたという点でもこのPV544は特筆すべき車なのである。
ボルボPV544動画
美しくレストアされた1961年製PV544の走る姿を見ることができる。60年以上前の車とは思えないスムーズな走りである。
美しくレストアされた1961年製PV544の走る姿を見ることができる。60年以上前の車とは思えないスムーズな走りである。