時代の先を行く安全装備搭載車だった。
PV544にはいくつかの安全装備も搭載されていた。まず、他のボルボ車と同様ではあるが、3点式シートベルトが標準装備となる。現在では当たり前の装備だが、3点式を一般向けの乗用車に付けたのは、この頃のボルボが最初である。
さらに、ダッシュボードには柔らかな素材を貼って、万が一の場合の衝撃に備えるという工夫も行っていた。またそれ以前に、車体が衝突時の衝撃を吸収するモノコック構造であるという点でも、PV544は安全性に優れていた。

当時の自動車業界では、安全性についてはまだ現在のような考慮がされていなかったが、ボルボの経営理念は創業当初から「安全」であり、いち早くこうした車づくりを行っていた。
しかも、ボルボは3点式シートベルトの特許を無償で公開している。さすがに福祉国家で名高いスウェーデンの自動車メーカーである。ヒト優先、安全優先という考え方が徹底していたのである。

事故に遭ったPV544
1966年にオランダのアムステルダムで撮影された。相手はポルシェ356である。PV544はフェンダーが曲がってしまったが、相手の車はかなり壊れているようだ。
【Jack de Nijs for Anefo / Anefo, CC0, via Wikimedia Commons】
1966年にオランダのアムステルダムで撮影された。相手はポルシェ356である。PV544はフェンダーが曲がってしまったが、相手の車はかなり壊れているようだ。
【Jack de Nijs for Anefo / Anefo, CC0, via Wikimedia Commons】