ピーター・フォークが出会った愛車。
実際にドラマの中でも、この車がディーラーから下取りを拒否されたり、自動車解体工場の殺人現場に乗り付けたコロンボが自動車を捨てに来たと勘違いされるというシーンなどがある。散々な扱いである。それでもコロンボは、「うちのカミさんの平凡な車と違ってこれはフランス車だ」と得意げに語るのである。
コロンボを演じたピーター・フォークの自伝によると、劇中で愛車として使用するプジョー 403は、彼が自分で見つけたそうである。劇用車のガレージの隅っこに止めてあったその車は、色が褪せ、車輪の1輪がパンクしているという代物であったが、これぞコロンボの愛車と直感したのだそうだ。

ユニバーサルスタジオのプジョー403
ロサンゼルスのユニバーサルスタジオの駐車場で撮影されたプジョー403。実際にこの車が撮影に使われたかどうかは定かではないが、ピーター・フォークは、きっとこんな感じのくたびれたプジョー403を劇用車のガレージの中で見つけて、これだ!と思ったのだろう。
【Andrew Bone from Weymouth, England, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons】
ロサンゼルスのユニバーサルスタジオの駐車場で撮影されたプジョー403。実際にこの車が撮影に使われたかどうかは定かではないが、ピーター・フォークは、きっとこんな感じのくたびれたプジョー403を劇用車のガレージの中で見つけて、これだ!と思ったのだろう。
【Andrew Bone from Weymouth, England, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons】
メーカーのプジョーとしては、10年以上も前の車が使われ、しかもポンコツ車として扱われているというのは複雑な思いだっただろう。事実、1989年の「新・刑事コロンボ」の撮影で、スタッフがプジョーにプジョー403ガブリオレの貸し出しを頼んだところ、ブランドイメージを損なうということで拒否されたようだ。
しかし、このドラマのヒットのおかげでプジョー403は、あのコロンボの愛車として世界的に知られる一台となったことは事実である。
歴史の中に忘れ去られてしまう車が多い中で、コロンボというユーザーがこよなく愛するフランスの乗用車として描かれたのだ。これに勝る宣伝は無いと思うのだが。

プジョー403のガブリオレとセダン
左はコロンボも乗ったガブリオレで、右はセダンだ。こうしてみると、プジョー403は、保守的だが飽きの来ない、大衆向けの乗用車であるということがよくわかる。だからこそコロンボ警部もボロボロになるまで愛用し続けたわけである。なお、右のセダンはグリルの形が少し異なるが、これは1960年製の簡易型の403である。
【Rundvald, Public domain, via Wikimedia Commons】
左はコロンボも乗ったガブリオレで、右はセダンだ。こうしてみると、プジョー403は、保守的だが飽きの来ない、大衆向けの乗用車であるということがよくわかる。だからこそコロンボ警部もボロボロになるまで愛用し続けたわけである。なお、右のセダンはグリルの形が少し異なるが、これは1960年製の簡易型の403である。
【Rundvald, Public domain, via Wikimedia Commons】
