プジョー 403

販売が終わった後に話題となった。

ところがである。プジョー403の歴史はそこで終わりではなかった。むしろ、ここからが面白い。1970年代のアメリカのテレビドラマ「刑事コロンボ」に、ピーター・フォーク演じる主人公コロンボの愛車として使われたのである。

ご存知のように「刑事コロンボ」は世界的にヒットしたドラマである。コロンボの人気とともにプジョー403も世界のファンに知られることとなった。

ドラマに使われたプジョー403は、ガブリオレつまりオープンカーである。ドラマに初登場したのは1971年9月にアメリカで放映されたエピソードからで、その当時すでに10年以上前の車であった。ドラマの中では、コロンボが愛犬を連れてくたびれたプジョー403に乗って登場するシーンがよく登場した。

コロンボは、それまでの刑事ドラマのように正義感あふれるスマートな刑事が犯人を捕まえるのではなく、胡散臭く、頼りなく、愚鈍に見える刑事が犯人をじわじわと追い詰めてゆくという展開に面白さがあった。ゆえにコロンボは、“カッコいい車で颯爽と”ではなく、“ポンコツ車でヨタヨタと”でなければならなかった。そんな設定に10年以上前のこの車がピッタリだったのである。

「刑事コロンボ」プジョー403登場シーン
コロンボが愛車とともに登場するシーンをピックアップした動画である。ボディは汚れ、凹んでおり、ワイパーも壊れている、そんなとんでもないポンコツさがこのドラマを引き立てているのがよくわかる。プジョー403のガソリンの投入口が後ろのブレーキランプの下にあるという発見もあって面白い。

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ピーター・フォークが出会った愛車。