いすゞ エルフ

黄色のコカ・コーラボトルカーとは?

さて、日本にコカ・コーラのボトルカーが登場したのは昭和30年代だが、世界では戦前からトラックがボトルカーとして使われていた。いすゞエルフと同様、トラックの荷台に箱入りのコカ・コーラを並べて配送するという形である。なお、現在のボトルカーは、中が見えないパネルバンで、段ボール箱に入れた缶入り飲料を運んでいる。

コカ・コーラというとイメージカラーは赤だ。缶入りを運ぶ現代のコカ・コーラボトルカーは多くが赤く塗られている。しかし、ビン詰めのコーラを運ぶ時代のボトルカーには黄色く塗られたものが多い。それは、コーラのビンを詰めた木箱が黄色く塗られていたからだそうだ。単純な理由だが、それによって街では結構目立っている。宣伝効果を考えると、この黄色、赤よりもいいかもしれない。

黄色いコカ・コーラトラック
初期のコカ・コーラボトルカー
全体が黄色に塗られ、バックにはコカ・コーラのロゴがある。荷台には黄色の木箱が載せられている。1910年代のものと思われる。アメリカルイジアナ州のビエデンハーン・ミュージアム所蔵の一台。
Carol M. Highsmith, Public domain, via Wikimedia Commons】
黄色いコカ・コーラトラック
1930年代のコカ・コーラボトルカー
このトラックもまた全体が黄色だ。なかなか個性的なデザインだが、これはアメリカのトラック製造会社インターナショナル・ハーベスターのトラックである。
International Harvester Company, Public domain, via Wikimedia Commons】

昭和30年代の日本の街でも、この黄色はとっても目立っていたのではないだろうか。そして、運んでいるのはアメリカ文化の象徴コカ・コーラである。しかも昭和30年代の中盤を過ぎると「スカッとさわやかコカ・コーラ」のテレビCMが盛んに流され、コーラは流行に敏感な若者の飲み物というイメージが定着していった。

ボトルカーとなったいすゞエルフ、この車はレッキとした日本のトラックではあるが、コーラというアメリカの風を運んでくるのだから、当時の若者にはとってもクールな、いや“スカッとさわやか”な車に見えたことだろう。

昭和30年代のコカ・コーラCM
「コカ・コーラを飲もうよ〜」で始まるCMソングが懐かしい、昭和30年代のCM。夏はヨットで、冬はクリスマスパーティでと、コカ・コーラはナウいヤングの飲み物なのである。みんなが手に持つコーラは、もちろんペットボトルでも缶でもなく、ガラスのボトルである。
旧車イベントに登場したいすゞ エルフ
旧車イベントの様子を撮影した動画である。牛乳販売店で使われていたトラックと郵便局で使われていたバンの2台のエルフが登場する。車内の状況が当時の雰囲気を伝えていてとても興味深い。走る様子も撮影されている。