宅急便のあの車に似ている。
この車を見ていると思い出すのが以前に街でよく見かけた宅急便の車だ。現在ではもう製造されていないが、クイックデリバリーという名前で、トヨタ自動車がヤマト運輸の要請によって作った車である。やはりスライドドアで、立ったまま荷室に入ったり出たりできる便利な車になっている。
ゴッゴモビルTLと似たような経緯で作られ使われた車ではあるが、トヨタがクイックデリバリーの製造をはじめたのは1982年である。ゴッゴモビルTLは、その四半世紀も前に便利な郵便車として利用され始めているのだから驚きだ。
クイックデリバリー
ヤマト運輸の宅急便で使われていた2トン積みのタイプ。ゴッゴモビルを一回り大きくした形だ。
【Tennen-Gas, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons】
ヤマト運輸の宅急便で使われていた2トン積みのタイプ。ゴッゴモビルを一回り大きくした形だ。
【Tennen-Gas, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons】
配送、配達という業務は機動力が勝負である。作業する人間がいかにスピーディにしかも少ない労力で業務を行えるかが問題になってくる。2輪車でも十分な働きはできるのだが、やはり多量の荷物を積むことができ、雨天でも荷物を濡らす心配が少ない4輪車が有利だ。
ドイツ連邦郵便局は、狭い道が多いという状況も考慮し、当時人気を得ていたマイクロカーに目を付け、ゴッゴモビルTLをハンス・グラースに発注したのであろう。バイクや自転車よりも値が張るため、普通のお役所だったら「まずは試験導入を」なんてことになりそうだが・・・。当時のドイツの郵便局は、やはり思い切りがよい。
旧車の展示場にあったゴッゴモビルTL300
だいぶ年季の入ったゴッゴモビルである。淡いグリーンに塗られているが、もともとはドイツ連邦郵便局の黄色だったようだ。トレードマークも残されている。よく見ると値段がついており72,500ユーロとある。日本円で1,000万円だ!
だいぶ年季の入ったゴッゴモビルである。淡いグリーンに塗られているが、もともとはドイツ連邦郵便局の黄色だったようだ。トレードマークも残されている。よく見ると値段がついており72,500ユーロとある。日本円で1,000万円だ!