ドイツ連邦郵便局で主に使われていた。
さて、このページの最初に掲げた黄色のゴッゴモビルTLだが、よく見ると車の側面にはDeutsche Bundespostとあり、これがドイツ連邦郵便局の車であることがわかる。黄色は、ドイツ郵便の色なのである。また、昔の郵便馬車で使われていたラッパをモチーフにした郵便マークも付けられていている。

黄色の車体カラーにDEUTSCHE BUNDESPOST(ドイツ連邦郵便局)の文字とトレードマークが入っている。
自動車専用の広い道を早くから整備していたドイツも、街の中には入り組んだ狭い道が多い。そこを動き回って郵便物の配達を行うには、こうしたマイクロカーが重宝されたのである。ゴッゴモビルTLは3600台ほど製造されたが、そのうちの2000台以上が郵便局で使われていた。実際にこの車はドイツ連邦郵便局の要請によって製造されたようである。
この車の登場は1957年。日本で言えば昭和30年代のはじめである。当時の日本の郵便局での配達は、歩きか自転車、せいぜいバイクだっただろう。小荷物配送用にスクーターを改造したオート三輪が使われていたという資料を見たことがあるが、ドイツの場合は、ゴッゴモビルTLが国内の多くの郵便局に配備されていたのである。やはり機動力が違う。
フランクフルトの通信博物館に収蔵されているゴッゴモビルTL。スライドドアが開けられている。
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この車の運転席のドアがスライドドアであったことにも注目できる。狭い道で乗ったり降りたりを繰り返したり、荷物の出し入れを頻繁に行ったりする場合、やはりドアはスライドドアが便利である。まさしく郵便物や小荷物の配送、配達のためには最適な車だったのである。
なお、日本の商用車でスライドドアを初めて採用したのは日産自動車のダットサン キャブライトで、1964年登場の3代目からである。しかも、運転席のドアではなく後ろのドアで採用した。ゴッゴモビルTLは、そのダットサン キャブライトの7年も前からスライドドアの商用車として活躍していたのである。
スライドドアを開けながら走る様子を撮影した動画。結構軽快な走りである。
