バブルカーとも呼ばれたTG500。
こうしたマイクロカーのことを欧米ではバブルカーとも言う。バブルカーと聞くと、バブル経済を体験した人間は、何か目の玉の飛び出るほどの値段の高級車、贅沢な車といったイメージを持つが、実はこの名は見た目から来ている。マイクロカーは車体が小さいため透明な窓ガラス部分が大きくなる、そんな姿がバブル、つまり泡のように見えるというわけである。
このTG500は、透明のキャノピーがまさに泡のように見え、バブルカーの代表格でもある。その他にも戦後の一時期BMWが製造、販売したイセッタや昭和30年代に発売されていた富士自動車のフジキャビンもバブルカーと言われている。

BMWイセッタ
BMWがイタリアのイソ社からライセンスを得て生産、販売したバブルカー。車の前面がドアになり、そこから乗り降りする。
BMWがイタリアのイソ社からライセンスを得て生産、販売したバブルカー。車の前面がドアになり、そこから乗り降りする。

フジキャビン
日本の富士自動車が製造した前2輪、後1輪の3輪自動車。1つ目ランプが特徴的だが、世界で初めて車体をFRPで製造した車でもあった。
【Rikita, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons】
日本の富士自動車が製造した前2輪、後1輪の3輪自動車。1つ目ランプが特徴的だが、世界で初めて車体をFRPで製造した車でもあった。
【Rikita, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons】
いずれにしてもバブルカーとはマイクロカーの一種という認識であった。その名称には正式の自動車ではなくそのうち泡と消えてしまうだろうという揶揄も含まれていたのだろう。しかし、TG500は、4輪でありパワーもアップしたことで人気を得、1958年に発売してから1961年まで製造が続けられた。約320台が製造され、そのうち約150台が現存しているそうだ。やはりこうした趣味的な車は強いのである。
今この車を手に入れようとすると、なんと1000万円だそうだ。希少価値、骨董的な価値があるとは言え、まさに高級車の値段だ。泡に似た姿でバブルカーと言われたTG500。今では泡以外の意味でのバブルカーとなっているのである。
TG500の動画
美しくレストアされたTG500を紹介している。飛行機の操縦桿のようなハンドルがご愛嬌である。
美しくレストアされたTG500を紹介している。飛行機の操縦桿のようなハンドルがご愛嬌である。
走るTG500
2017年にドイツのニッダで開催されたイベントで見られたTG500。他にもKR175、KR200、イセッタ、ゴッゴモビルなどの車も参加していて面白い。
2017年にドイツのニッダで開催されたイベントで見られたTG500。他にもKR175、KR200、イセッタ、ゴッゴモビルなどの車も参加していて面白い。
