豊満さと贅沢さがキーワード。
さて、エルドラドという車の特徴をもう少し詳しく見ていこう。まず目につくのは、フロントを飾るクロームメッキのバンパーだ。まさに絶頂期のキャデラックを象徴するようなバンパーでもある。砲弾のような2つの突起が特徴で、衝突時の車の保護に加え、車の速さをイメージさせる飾りとしての役割もあったようである。
この形式のバンパーは当時流行し、ダクマーバンパーとも呼ばれた。ダクマーとは1950年代に活躍した女優でありテレビタレントであったヴァージニア・ルース・エグナー通称ダクマーから来ている。彼女の豊満な胸のイメージなのである。現代であったら不適切なネーミングと言うことになるが、当時はこれがウケたのだ。何というか時代を感じさせる。

エルドラドのダクマーバンパー
初代エルドラドの実車の写真だ。クロームメッキのダクマーバンパーの派手さ加減がよくわかる一枚である。
【Mustang Joe, CC0, via Wikimedia Commons】
初代エルドラドの実車の写真だ。クロームメッキのダクマーバンパーの派手さ加減がよくわかる一枚である。
【Mustang Joe, CC0, via Wikimedia Commons】
また、フロントウインドウは、側面にまで回り込む曲面ガラスを使ったラップアラウンドウインドウを採用している。これはパノラミックな視界を確保し、車のスピード感を表現するウインドウとして当時のアメリカ車では盛んに採用された形式である。
さらに、フロントガラスウォッシャー、パワーウィンドウ、自動選曲ラジオなど、快適なドライブのためのさまざまな機能も標準装備されていた。70年前の車だが現代の車のような至れり尽くせりの車だったのである。

エルドラドのダッシュボード
フロントガラスが、側面にまで回り込むラップアラウンドウィンドウになっているのがわかる。
【Joe Mabel, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons】
フロントガラスが、側面にまで回り込むラップアラウンドウィンドウになっているのがわかる。
【Joe Mabel, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons】
トランジスタカーラジオ
1957年登場の3代目エルドラドのカーラジオである。50年代半ばに一般向けに売り出されたトランジスタラジオが、早くも搭載された。最新の機能をすぐに採用するというのがエルドラドのウリでもあった。
【Historianbuff, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons】
1957年登場の3代目エルドラドのカーラジオである。50年代半ばに一般向けに売り出されたトランジスタラジオが、早くも搭載された。最新の機能をすぐに採用するというのがエルドラドのウリでもあった。
【Historianbuff, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons】
