DSの語源は?
DSとは何か、何かの略なのだろうか。詳細は不明であるが、フランス語で女神を意味するデエス(deesse)のことだという説がある。確かに、このスマートなデザインはどこか女神様を連想させる。また、フランスを象徴する自由の女神にあやかったネーミングだとも言える。
しかも、この女神様は1999年のカー・オブ・ザ・センチュリーで、堂々3位となった。カー・オブ・ザ・センチュリーは、20世紀で最も影響力のあった車に与えられた賞だが、1位のフォードモデルT、2位のミニ(ローバーミニ)に次ぐ車として選ばれたのである。
人々に衝撃を与えたスタイルを持ち、多くの市民に愛された車ということで、その影響力は大きいということなのだろう。まさに女神様の名に恥じない車である。
一歩先を行くスタイルの、市民が乗る車。
戦前から1940年代にかけて、車のデザインの主流はボンネットとフェンダーが別れたスタイルであったが、50年代になると、ボンネットとフェンダーが一体でより現代的なフラッシュサイドスタイルが主流になる。ヨーロッパの各メーカーはそうしたスタイルの新型車をこぞって市場に投入した。
フランス車としては、プジョー403や404、ルノー4、パナールディナZなどがある。お隣のドイツではメルセデスベンツ180があり、イタリアではフィアットNUOVA 500や600が生まれている。しかし、その中でもこのシトロエンDSは一歩先をゆくスタイルで別格でもあった。
DS発売60年を記念して作られたもののようで、DSのデザインイメージ、機能性、安全性などがよくわかる。
1967年製のDS19の動画である。走る姿や運転席、内外装の特徴などを紹介している。
しかも、スポーツカーや高級車といった車のファンが喜ぶ車という位置づけではないところもDSの凄さである。スタイルは別格でも、あくまで普通の市民が乗る普通の車として生まれている。
フランスの街を走る車というと、このシトロエンDSの姿が頭に浮かぶ人も多いのではないだろうか。印象が鮮烈だという点はもちろんあるが、それほどありふれた車だということでもある。なにしろ145万台も売れているのだ。
