それは多目的車としての改良だった。
ムルティプラとは日本語で「多数」を意味する。多人数が乗れる、たくさんの荷物が入る、いろいろな使い方ができるといった意味で付けられた名前であろう。つまり多目的車ということである。
乗用車のフィアット600を事業用やレジャー用などさまざまな目的で使えるように乗車スペースを広げて改良したのが600ムルティプラというわけだ。なお、シートは折りたたむこともできるため、荷物室になる。使い方はいろいろ、マルチパーパスである。
ムルティプラの車内の動画
大人6人と子供1人が乗っている。昔の車ゆえにヘッドレストが無いので、車内が広く感じられる。
大人6人と子供1人が乗っている。昔の車ゆえにヘッドレストが無いので、車内が広く感じられる。
また、面白いのは、タクシー専用タイプも登場させたという点である。運転席を独立させ、助手席は折りたたみ可能とし、後ろの客席には4人が乗車できるというものだった。この600ムルティプラのタクシーは、イタリアの各地で70年代まで活躍していた。狭い市街地をお客や荷物を載せて走り回れるこのタクシーは観光客にも喜ばれたに違いない。
1965年の映画「黄金の7人」に登場したムルティプラタクシー。
