不思議な形はどうやって生まれた?
フィアットは戦前から2人乗りの小さな乗用車を生産し、人気を得ていた。フィアット500である。ネズミのようなイメージから、トポリーノと呼ばれていた。
小さく手頃な価格であることがポイントだったのだが、やはり2人乗りでは物足りないという声が高まるのも当然で、戦後の1955年にはRR(リアエンジン・リアドライブ)の4人乗り小型車、フィアット600が生まれる。

フィアット600
4人乗りの小型車だ。エンジンは後ろにあるため、ボンネットの中は物入れになる。
4人乗りの小型車だ。エンジンは後ろにあるため、ボンネットの中は物入れになる。
そのフィアット600の発展形としてムルティプラは登場した。まず、フィアット600の運転席を前輪の上まで持ってきて乗車スペースを広げる。後部はエンジンがあるためそのままだ。そして広がったスペースにもう一列シートを増やして6人乗りとする。ムルティプラの不思議な形はこうして出来上がった。

上がムルティプラで下が600だ。600の運転席を前に持っていくとムルティプラになる。
