ルノー ビバスポール

女性が登場する広告を展開した。

ビバスポールの広告には女性が登場する。クローズアップの女性の顔と彼女が運転する車の写真とをデザインした広告であり、そこにla joie dans les yeux, celle d’avoir une…というキャッチフレーズが入っている。

直訳すると「目の喜び、それを持つことの喜び…」という意味だ。つまり、「見て美しいこの車のオーナーにあなたもなれる」と訴えているのだろう。

ビバスポールの広告
ビバスポールの広告
女性の顔のクローズアップと女性が運転する車の写真を組み合わせている。1934年の広告だ。
loki11, Public domain, via Wikimedia Commons】

いずれにしても、この広告は車の性能や機能で差別化を図っているのではなく、あなたも持てると訴えるイメージ広告である。そして、自動車という製品がいかに一般的なものとなっているかの証拠とも言える。

さらに、この後ルノーは、女性の航空パイロットとして当時の世間の話題をさらっていたエレーヌ・ブーシェのスポンサーとなり、この車の広告にも起用した。

エレーヌ・ブーシェは、1934年の8月にはレース用の航空機で女性の速度記録である時速445kmを達成。世界最速の女がビバスポールを運転する姿は最高の宣伝となった。

エレーヌ・ブーシェを起用した広告
女性パイロット エレーヌ・ブーシェを広告に起用
「世界最速の有名な飛行士は、スポーティでスピリットのあるものしか選ぶことができなかった。」とコピーが付けられている。
Lucien Chauffard, Public domain, via Wikimedia Commons】

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ビバスポールは、女性向けの車?