庶民がドライブを楽しむために。
ビバスポールは高級車としての位置づけではあったが、競合する他社の車よりも低めの価格設定であった。お金に糸目を付けない人々ではなく、一般の人々にも頑張れば持つことができそうだと感じさせる値段にしたのである。
しかも、1920年代にはアメリカで自動車ローンがすでに始まっていた。1930年代のフランスでもローンは利用できたであろう。昔ではとても叶えられなかった夢を形にする、そんな生活スタイルの基盤がこの頃にはできあがっていたのだ。
ビバスポールは、2人乗りのオープンカーである。生活の必需品ではなく、ドライブというレジャーのための車だ。そうした車を庶民が購入できるということが、この時代の素晴らしさであり、自動車がいよいよ庶民のものとなりつつあるという点を実感させる。
ビバスポールの広告を見るとそれがさらによくわかる。

ビバスポールの実車の写真
この車は、このページの最初に掲載したYZ4型である。オープンの車体に幌を付けている。いかにも30年代の高級車というムードだ。これは宣伝写真だろうか。
【Stéphane Chatelain, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons】
この車は、このページの最初に掲載したYZ4型である。オープンの車体に幌を付けている。いかにも30年代の高級車というムードだ。これは宣伝写真だろうか。
【Stéphane Chatelain, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons】
