木製であることのもうひとつの理由。
ボディの一部に木を用いる車は、このタウン&カントリーだけではない。1930年代から60年代にかけて多くのメーカーから出されていた。それはウッディーとも呼ばれ、自動車の車体スタイルの一つになっている。
英語のウィキペディアの解説によれば、ウッディーは、シューティング・ブレークという馬車のスタイルに由来しているらしい。シューティング・ブレークとは、狩猟で使われる馬車で、乗員といっしょに射撃の道具や撃った動物、鳥などを運べる馬車であり、硬い木材で客室部分が作られていた。そのスタイルが生かされたようである。
狩猟といえば、その昔は釣りと並びアウトドアレジャーの王道でもあった。ウッディースタイルの自動車はその頃の記憶をとどめたアウトドアレジャーの道具というわけでもある。

シューティング・ブレーク
2頭の馬が引く馬車である。これから狩猟に出かける人を乗せている。1903年に撮影された写真である。
【University of Washington, Public domain, via Wikimedia Commons】
2頭の馬が引く馬車である。これから狩猟に出かける人を乗せている。1903年に撮影された写真である。
【University of Washington, Public domain, via Wikimedia Commons】
タウン&カントリーはアメリカの富裕層に売れたそうである。当時の富裕層の人々は、やはり平日は都会で暮らし、週末には車で森の別荘に向かうというライフスタイルだったようだ。ゆえに都会とカントリーを往復する車は、アウトドアレジャーの伝統を感じさせる木製パネルの車だ、ということになったのだろう。
